食で生活も心も豊かに、一人一人の自己実現を支援するシゴトがしたい!

食べることや自然が大好きで夢見がちな大学院生の日常を綴ります。

食と栄養にまつわる話で思うこと

 

様々な栄養課題

私はアフリカ農村地域の栄養不良の問題について勉強している。

だからといっていわゆる先進国の栄養問題に興味がないわけではなく、日本の栄養課題とか、食品ロスとかにもすごく関心があり、世の中知りたいことだらけ。

例えば、低中所得国の低栄養と欧米諸国の肥満の課題を2つ別々に考えずに、全部一緒にフードシステムの一環として考えられるようになりたいなと個人的に思っている。

低栄養の問題は低中所得国の「質の良い医療サービスや栄養価の高い食品へアクセスできない」ことが要因のものだけではない。日本では若い女性や高齢者の低栄養がとても課題になっていて、複雑な要因が絡み合っている。例えば、若年女性だと痩せ思考やメディアやSNSの影響を受けやすかったり、高齢者だと精神的・身体的に弱っていて食べる力が弱くなっていたり。

 

様々な栄養へのアクセス

そういった栄養にまつわる問題には共通して様々な”アクセス”の問題が絡んでいる。

アクセスには情報のアクセス、物理的アクセス、経済的アクセス等いろいろある。

①例えば情報へのアクセスは正しい知識へのアクセス。低中所得国では、まだまだ正しい知識がないしアクセス源も限られているという絶対的アクセス不足の問題があるかもしれない。反対に、日本のような高所得国では、知識のアクセス源が多すぎて、情報過多になる、正しい情報が何かわからないという相対的アクセス不足の問題があるかもしれない。あらゆる人があらゆる情報にアクセスできる時代だからこそ、私たちは正しい情報を見抜く力が求められている。

②次に物理的アクセス。農村部では単純に健康的な食品を得られる場所(マーケットとか?)が遠くて、日常的には一番近いショップで買えるものを買うしかないという状況であるという問題があるかもしれない。逆に、都市部では、どこでも何でも買えるのに、コンビニですぐ食べられるものを選んだり、外食が続いたりという状況があるかもしれない。

③経済的アクセスは、単純にお金がないことで健康的な食品を買えない状況もあるだろうし、お金があっても(あるからこそ?)外食続きになっていて野菜不足になっていたりという問題ももちろんあると思う。

④技術的アクセスやいわゆる手間のこと。健康的な食品を手に入れても、食べるためには何か手を加えないといけない。例えば畑から収穫した作物は洗って、切って、調理して、盛り付けてという手間がかかる。そしてそれだけ時間もかかる。農村部ではそう言った食品の一次加工も家庭で行うから食材があっても食べるまでのハードルが高いかもしれない。私たちの食卓を見てみると、殆どの食材はすでに加工が施されていて、食べるまでのプロセスが短縮化されているなと改めて感じる。すなわち、食材を手に入れて食べるまでのハードルが低く、農村部ほど時間も要さない。

⑤最後に精神的アクセスもあると思っていて、特に日本の若い女性のやせ問題はその影響も大きいと思う。人の前で食べられないとか、たくさん食べると思われたくないとか。あと、ダイエットをしているのに食べちゃうとかありがちな問題もここになるのかな?

それぞれの”アクセス”を妨げている要因は複雑に絡んでいるから、栄養改善が難しいのと思う。一つ一つのアクセスに向き合い、改善していける人になりたいなと思う所存。

最後に私の考える食の価値について

最近は、1つの食品で全部の栄養素を取れます!という商品とか、マルチビタミンとかが増えてきて、食事の多様化が進んでいる。世の中グローバル化が進み、あらゆる価値観や生活も多様になり、ニーズも多様なので、そりゃ食も多様になっていくだろうなと思っている。

だけど、食に求めることって単に栄養素を得ることだけなのだろうか?という疑問。私的には世の中スマート化が進んでいて、なんでも効率良くがベスト!みたいな風習になっているのがとっても悲しい。一方で豊かな食卓とかスローライフのニーズも増えてきているのは、スマートすぎる世の中で人とのつながりとか、共生とか、地球にやさしく、とかそういうものを求めるようになっている。それが精神的な疾患とか、食品ロスとか、環境負荷とか今の課題解決につながるのではないかと思う。

「食べることは生きること」を教えてくださった佐藤初女さんは、このことを伝えたかったのだと思う。食は命と命をつなぐものであって、食材と人の命が交わるもの、食べる人と作る人がつながる場所、食べることはコミュニケーションである、一緒に食べておいしいねを共有することで絆が生まれる。そして、食は人を通じて、次世代へ受け継がれていく。

ちょっとスピリチュアルなことだけど、私はそういう食の価値を信じているし、大事にしていきたい。食のパワーで人々を元気にしたい。いつまでも皆で笑っていたい。というのが私のビジョン。